クリスマス.13


「あ、もし気に入ったのなら、それは差し上げますから」

何を勘違いしたのか、霄瓊が笑顔で言った。

このマフラーを気に入った訳では無い。

「あれ、違いましたか?静嵐を見ていたら、そんな気がしたのですが」

このマフラーを気に入ったのではなく。

ただ、そこに残る温もりが。

「……静嵐?」

じっと見詰められ、霄瓊は戸惑うように首を傾げた。

幼い仕草から目を逸らして、黙ったまま歩き出す。

霄瓊も急いで付いて来ると、ごく自然に隣に並んだ。

会話の無いまま路地を抜け、妙に明るい通りに出る。

普段から夜でも人通りの多い道とはいえ、今日は何だかいつもと違う気がする。

何気無く隣に目を向けると、霄瓊は明るい通りに瞳を輝かせたりはせずに、俯いて歩いている。

しばらくそのまま大人しく足を動かしていた霄瓊が、不意に静嵐を見上げて尋ねた。

「あの、今夜は唐揚げで良いですか?」

何の前触れも無い言葉に、訝しげに聞き返す。

「何故、唐揚げなんだ」

「だって、今夜はクリスマスですから。本当ならチキンの方が良いんでしょうけど、今はちょっと……。あの、余裕が」

気まずそうに目を伏せて、小さな声で付け足す。

「……すみません」

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