鎖.14


器を手に立ち上がった黒曜に、霄瓊は驚いた顔をする。

「どうしたんですか、急に」

「こんな仏頂面と二人で食事したってつまらないでしょう?霄瓊さん、毎日よく耐えてますね」

「で、でも、静嵐一人じゃ寂しいんじゃ……」

それまで黙っていた静嵐は、余計な心配をしている霄瓊を睨んだ。

「お前、俺を何だと思っている」

「大丈夫、何の心配もいらないぜ!この俺が来てやったからな!」

突然、場違いなまでに明るい言葉が響き渡った。

「静嵐、寂しいなら俺が一緒にいてやるぜ。有り難く思えよ」

「あの、湧碕さん。お食事は……?」

歩み寄って来て殺気を放つ静嵐の横に腰を下ろした湧碕に、霄瓊がおずおずと尋ねる。

「急いで食って来た。いつまでも黒曜さんに見張りをさせとく訳にも行かないし。黒曜さん、どうも有り難うございました」

「いいえ。では、ちょっと失礼しますね」

「えっ!?あ、あのっ」

黒曜は器を持っていない方の手で、慌てる霄瓊の肩を抱くようにして歩き出した。

「はいはいっ。どうぞ、ごゆっくりー」

立ち去る二人に手を振って、湧碕が静嵐の顔をにやにやしながら覗き込む。

「どうしたー?随分不機嫌そうだなー。もしかして、妬いてるのかー?」

「……何の話だ」

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