聖女の祈り.06


人間の会社と同じような組織がある悪魔は、規則を重んじる。

それを静嵐に教えたのは黒曜だった。

だから特に心配もせずに霄瓊を側に行かせていたのだが。

「止むを得ず、ですよ。意識があるままでは、例え縛り付けたって彼女は僕を止めるでしょうからね。それに僕にも、時には規則よりも優先させたい事があるのでね」

「何を企んでいる」

「今のままでは、あまりに切ないので。霄瓊さんはこれを望んでいないけれど、ただ痛みを生むだけになるかもしれないけれど、それでも僕はこうせずにはいられない」

黒曜は、まるで親が子供を案ずるような瞳で静嵐と霄瓊を見詰める。

「このままでは、あまりにも切ない。こんなに側にいながら、何よりも誰よりもお互いの為に生きていながら、当人がそれを知らないままなんてあまりにも報われない」

何を言っているのか分からずに、静嵐は当惑して見返した。

「そう思うから、僕は君に返しましょう。君が悪魔となった時に渡した魂を。記憶を、心を、願いを。これは決してしてはならない事、契約に反する行為だけれど。それでも、君は知る必要がある」

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