聖女の祈り.07
話している間に店内に風が巻き起こり、黒曜の背に黒い翼が現れた。
その姿に見覚えがあって不意に激しくなった鼓動に、思わず霄瓊を抱えた腕に力を込める。
「静嵐、これが君があの選択の時に捧げた願いです」
そう告げた黒曜の声に重なるように、もう一つの言葉が響く。
『君には願いがあるでしょう。全てを引き換えにしてもそれを願うなら、叶えられますよ』
静嵐は自分の中に何かが流れ込んで来るのを、ぼやけ出した頭で感じた。
今まで失っていたものが、急速に閃いてあるべき場所へと戻って行く。
その内容がまだ整理出来ずに混乱しながらも、たった一つ確かなものがあった。
それは腕の中の少女の温もりであり、その白い寝顔だった。
そうだ、かつて自分は願ったのだ。
己の身と心を全て捧げる程に激しく、狂おしく。
善か悪かもどうでも良い程、ただ一途に。
もう一度、会いたいと。
手が届かない場所に行ってしまった存在に、生き返って欲しいと。
彼女、霄瓊に。
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