聖女の祈り.09


誰の胸に留まる事も無いのなら、苦労して生きて行く必要も無い。

自分が死んだ後も、世界は何事も無く流れて行くだろう。

そう考えてからは、何度も自殺を試みた。

車の前に飛び出したり、薬を大量に飲んでみたり。

今回のように窓から飛び降りてみたりもした。

けれど、何故かいつも死ねない。

生きていたくもないのに、どうしてか生はこの身を縛って放さない。

消えない傷が幾つも体に残るだけで、その痛みが逆に生きていると思い知らせる。

何という皮肉だろう。

自嘲の笑みを浮かべ、首だけ動かして白い部屋の中を見回す。

恐らく自分で命を断とうとしたと気付かれているのだろう。

はさみのような刃物も無いし、窓には鉄格子がはめられている。

まるで動物園の檻のようだ。

そう考えて、再び自嘲の笑みが浮かぶ。

あながち外れてもいない。

自分は生という檻に捕らわれた、目的も無く徘徊する生き物だから。

白い壁に囲まれた部屋の中、ゆるゆると時間だけが過ぎる。

足に加えて他にも何カ所か骨折していたから、しばらくはベッドから起き上がる事も出来なかった。

そうしている間はひたすら退屈で。

朝が来て夜が来て、残酷な程に時は変わらず流れて。

日毎に夜毎に死を願う自分だけが、その流れから取り残されたようだった。

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Reservoir Amulet