聖女の祈り.11


本来ならエレベーターがある筈の位置は壁になっている。

やはり誰もいないのだろうか。

だから此処までエレベーターを繋げる必要も無い、という事だろうか。

自分の中で結論付けた瞬間、一番向こう端の病室のドアが開いた。

そこから出て来たのは、パジャマ姿の少女だった。

俯き加減に歩いて来た少女は、やがて廊下に立ち尽くす存在に気付いて足を止める。

「貴方は……」

不思議そうに見上げて呟いた後、勢い良く体の向きを変える。

「ごめんなさい!」

「おいっ」

反射的に呼び止めようとした途端、少女は着ていたパジャマの裾を踏んで思い切り転んだ。

あまりにも派手な転び方に思わず呆然としてから、急いで杖から手を離して差し伸べる。

「怪我は無いか?」

しかし少女はその手を取ろうとはせず、自力で起き上がった。

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