聖女の祈り.15


それからは、毎日のように人目を盗んで霄瓊の元を訪れた。

彼女の病室で会う事もあったし、秘密の道として教えてくれた非常階段に腰を下ろして過ごす事もあった。

「初めて静嵐に会った日も、私は此処に来ようとしていたんです」

吹き抜ける風に柔らかそうな髪を揺らしながら、霄瓊は話した。

「窓から見える切り取られた四角い景色じゃなくて、広い世界を見たくなった時にこっそり来ていたんですよ」

彼女が非常階段を教えてくれたおかげで、誰にも見付からずに病棟の最上階へ何度も行く事が出来た。

会いに行っても、上手に話す事は出来なかったけれど。

それでも霄瓊は、いつも嬉しそうな笑顔で迎えてくれた。

大抵は静かに時は流れ、その合間に時折思い出したように言葉を交わした。

半日以上一緒にいて、結局一言も話さなかった日もある。

しかし、気まずさは全く無かった。

何処までも穏やかに、心安らぐ時間があった。

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