聖女の祈り.16


自分の側にいる霄瓊の瞳の煌めきや、僅かな表情の変化を感じるだけで満たされて。

以前と同じように流れて行く筈の世界が、全て変わった。

死を、終わりを願っていた事さえ忘れる程に。

霄瓊という一筋の光が射し込んだだけで、虚しかった世界が鮮やかに色付いて。

また彼女に会える。

そう思うだけで明日を待つ幸せを、朝に目覚める希望を知った。

その内に自分が退院する日が来たけれど、医者に頼んで清掃の仕事をさせてもらい、病院に怪しまれず出入りを許されるようにした。

医者も死のうとしていた患者の変化に気付いたのか、心良く計らってくれた。

こんな情熱が自分の中にあったなんて知らなかった。

退院した後にも変わらず会いに来る自分に、霄瓊は少し戸惑った顔をしたけれど。

またすぐに笑ってくれた。

それから控え目に預けられた体の重みと体温が、儚く切なく胸を締め付けて満たした。

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