聖女の祈り.17


「どんなに絶望的な状況だとしても、笑っていれば驚く程容易く越えて行ける事もあるんですよ。そして、どんな想いも願いも、強ければ簡単には消えません」

ある日、霄瓊が夢見るような瞳で語り出した。

かつて何度もこの手で切った手首に残る傷跡に、細い指で触れながら。

何も訊いては来なかったけれど、きっと此処に入院していた理由は察していたのだろう。

「例え叶わないまま終わってしまっても、こうして出会う人の中にそれは残るでしょう。強ければ強い程、世界を巡り続けて永遠に消えないでしょう」

真っ直ぐに覗き込んで来る瞳の光は、全てを見透かすようで。

「私達がこうして過ごした一時も、いつか永遠に世界を動かす営みの一部となるかもしれません」

果てしない夢物語に思えた。

それでも、間近で揺れる瞳を見ていると信じてみたくなった。

語っている少女自身が、多分誰よりも信じたいのだと伝わって来たから。

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