聖女の祈り.19
この時、どうしても訊けなかった事がある。
何故、霄瓊は此処にいるのかと。
誰の目にも触れないよう、存在を隠すように。
見ていると、悪いところなんて無さそうなのに。
前から気になっていたけれど、どうしても訊けなかった。
それは自分などが軽はずみに踏み込んではいけない事だと思った。
今目の前で、穏やかに儚げに微笑む少女を失いたくなかった。
例え尋ねたとしても、霄瓊は笑顔で教えてくれたかもしれないけれど。
でも彼女がまだ自分から言わないのは、きっと知られたくないからだろう。
人には誰にでも、隠しておきたい事がある。
だからいつか、話してくれるのを待とうと決めた。
それがどんな内容だとしても受け止められる自分でいようと。
いつもそうしてもらっているように。
- 202 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
表紙へ
ページ:
Reservoir Amulet