聖女の祈り.19


この時、どうしても訊けなかった事がある。

何故、霄瓊は此処にいるのかと。

誰の目にも触れないよう、存在を隠すように。

見ていると、悪いところなんて無さそうなのに。

前から気になっていたけれど、どうしても訊けなかった。

それは自分などが軽はずみに踏み込んではいけない事だと思った。

今目の前で、穏やかに儚げに微笑む少女を失いたくなかった。

例え尋ねたとしても、霄瓊は笑顔で教えてくれたかもしれないけれど。

でも彼女がまだ自分から言わないのは、きっと知られたくないからだろう。

人には誰にでも、隠しておきたい事がある。

だからいつか、話してくれるのを待とうと決めた。

それがどんな内容だとしても受け止められる自分でいようと。

いつもそうしてもらっているように。

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