秘密.09


ある日、霄瓊が一度だけ涙を見せた事があった。

眠っているかと思って静かにドアを開けたら、彼女は丁度目を覚ましたばかりのようだった。

こちらを見て体を起こそうとする様子に、慌てて駆け寄る。

咄嗟に抱いた肩が以前触れた時よりも痩せているのが分かって、思わず息を飲む。

これ程に、弱ってしまっているのか。

霄瓊はもう自分の体も支えられないようで、そのまま力無くもたれていた。

そして、しばらくして口を開く。

「静嵐……。お願いが、あるんです」

「何だ?」

自分に出来る事なら何でも叶えてあげたくて急いで訊くと、か細い手がそっと服の胸元を掴んだ。

「静嵐は、とっても温かいです。この温かさを、消してしまったら悲しいですよ。嫌ですよ……。こんなに、貴方は温かくて、生きているのに」

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