秘密.11


それから何度か霄瓊の元を訪ねたけれど、目を覚ましている時は無かった。

そしてある日、遂に病室から姿を消した。

ここ数日、何人かの医者が出入りしていて9階に近付けなかった。

まさかとは思ったけれど、此処にいないという事はやはり。

考えたくなくて認めたくなくて、空のベッドを見詰めたまま立ち尽くした。

頭の中を駆け巡るのは、出会ってからの彼女との想い出の一つ一つ。

あまりにも短い時間の一瞬一瞬。

でも、その一時こそ自分が生きていたと実感出来る時だった。

終わりを願っていた人生に彩りと煌めきを与えてくれた。

霄瓊は、まさに自分の世界の中心だったのに。

それを失ってしまったら、これからどうして生きて行けば良い。

喪失は、あまりにも大き過ぎて。

体に、心に大きな穴が開いてしまったようで。

動けない、動かない。

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