秘密.12


どの位、そうしていたのか分からない。

不意に背後に人の気配がしてぼんやりと目を向けると、以前自分の担当をしていた医者が入って来るところだった。

誰も知らない筈のこの場所にいるのを咎められるかもしれないが、もうどうでも良い事だった。

無反応のままベッドの方に視線を戻した時、医者が声を掛けて来た。

「君は、彼女の友達かね?」

並んでベッドを見下ろした医者は、苦笑して続ける。

「あの娘は素直だったからね。隠し事は上手ではなかった。誰かと会っているのは、すぐに分かったよ。私も敢えて聞き出そうとはしなかったがね」

惜しむような口調で語られる言葉が全て過去形なのに気付いて、絞り出すように声を出す。

「……あいつには、もう会えないのか」

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