秘密.15


こんな状況でも、霄瓊は笑っていたのか。

『どんなに絶望的な状況だとしても、笑っていれば驚く程容易く越えて行ける事もあるんですよ』

こんな状況で、霄瓊は終わらない希望を語っていたのか。

『貴方が私の所へ来てくれて、出会ってこうしていられる。その全てが無駄ではなくて、永遠に残って行くと。私は、信じています』

あんなに輝く瞳で。

そう考えると、涙が止まらなかった。

「私も、止められるものなら止めたかった。しかし相手は政治にも影響がある位権力がある。当然この病院に対しても、大きな力がある。私一人が反対しても効果は無いんだ」

医者の声には、苦悩が溢れていた。

「だから、彼女に逃げるよう進めた事も何度かある。しかし、その度に断られたよ。『私が頑張れば助かるかもしれない命があるなら、出来る限り頑張りたいです。それに、そんな事をすれば貴方が叱られてしまうでしょう』と、笑って逆に私を気遣って……」

耐え切れなくなったように目頭を押さえた医者は、少ししてから手を離した。

「すまない。結局何も出来なかった私に、泣く権利なんて無いな」

「……それは、俺も同じだ」

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