秘密.16


誰も責める事なんて出来ない。

側にいながら何の力にもなれなかったのは、自分も同じだ。

「そんな事はないよ。君と会うようになった最近の彼女は、毎日が楽しそうだった」

そう言って肩に手を置いた医者が、穏やかな口調で言う。

「私が言うべき事ではないかもしれないが、彼女の側にいてくれて、有り難う」

「……あいつは今、何処にいる?何処で眠っているのか分かるか?」

例え墓に行ってみたところで、もう会えないという事実を思い知らされるだけかもしれないけれど。

それでも、せめて花を供える位はしたかった。

すると医者はしばらく黙り込んでから、目を逸らして首を振った。

「彼女のお墓は、何処にも無いんだよ。亡くなった後も、彼女の体は解剖に回された。最後の最後まで調査に使われて……」

「……っ」

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