秘密.19


「君には願いがあるでしょう。全てを引き換えにしてもそれを願うなら、叶えられますよ」

巻き起こった風の中、翼を持つ悪魔は告げた。

「……もう一度、会いたい奴がいる。生き返ってほしい奴が」

迷いは無かった。

善か悪かも、どうでも良かった。

ただ、会いたくて会いたくて。

「君が会いたいのは死者ですね。そうなると、君の全てを引き換えにしても足りないかもしれません。それは世界の理に反する行為ですから」

「じゃあどうすれば良い」

「そうですね。君には一度死んで頂き、我々と同じ悪魔として生まれ変わってもらいましょう。その際魂を、記憶や心を捧げてもらいますから、会いたい存在の事も忘れてしまいますが」

事務的な口調で語られる内容を噛み締めて確認する。

「それで、あいつは生き返るんだな」

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