秘密.21


何も見えない、何も聞こえない。

まるで闇の底に落ちたかのような、冷たい静寂が体を包む。

普通なら感じる筈の恐怖ですら、今は遠い。

このまま、この暗闇の中に溶けて行くのだろうか。

或いは、それも悪くないかもしれない。

自分が消えて無くなっても、想いは残るなら。

最後まで、そう信じるから。

あの人の幸いを願うから。

そう思いながら漂って。

次に目が覚めた時には、辺りには光が満ちていた。

眩しい程の白い光が溢れ、体は夢の中のように軽くて痛みも無い。

それでも触れて来た闇の冷たさはしっかりと覚えていたから、悟った。

遂に起きる事の無い眠りについたのだと。

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