秘密.27


今自分の背に生えているのと反対の、漆黒の翼。

冷たさしか感じられない、愛しい瞳。

「貴女にもう一度会う為に、悪魔に魂を売ったんだわ。そして彼自身も悪魔になった」

「悪、魔……?」

「私達とはよく似ているけれど、決して相容れる事の無い存在よ。彼は自らの全てを引き換えにしても、貴女が生き返る事を望んだのね」

美鈴の憂いに沈んだ瞳を見て、その事実の大きさが少しずつ分かって来た。

思わず口元に手を当てて、泉の水に目を戻す。

「そんな……。それでは、静嵐は」

「もう貴女の知るその人は何処にもいないわ。そして彼の願いに呼ばれるまま貴女が混沌へと還り生まれ変わったら、霄瓊も彼を忘れてしまう。再び引かれ合い出会うとしても、多分どちらも気付かない」

「忘れる……」

悲しみに満ちた顔で語られる内容に、呆然と呟く。

自分の中からあの尊い想い出が無くなってしまったら、それは自分の生きる理由を失うのと同じだ。

「彼の願いの代償はとても大きい。それでも、彼は願ったのね。生き返る、再び生まれ来る貴女の幸せを信じて」

溢れそうになる涙を堪えて、顔を上げる。

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