秘密.30


「静嵐の新しい幸せを探さなくては。そこに私はいなくて構いません。私を思い出す事は、悲しみも思い出す事ですから。あの人が私を忘れたのは好都合です」

もうこれ以上、あの人を苦しめたくはない。

この痛みを戒めに、静嵐が自ら犠牲にしてしまった幸せを探しに行こう。

そこに自分はいなくて良いから。

「……霄瓊」

「お願いします、どうか私を行かせて下さい」

必死に頭を下げて続ける。

「その為に美鈴さんが咎められるなら、全て私が勝手にやったと言って下さい。ご迷惑をお掛けしてしまってすみません。ただ、どうか止めないで下さい」

「何を言っているの、霄瓊。謝らないで」

美鈴の手が伸びて来て、優しく頭を上げさせる。

「貴女の想いはよく分かったわ。今のまま、貴女を地上へと送りましょう」

「え?いいんですか?」

「誰かを好きだと思い、幸せを願う気持ちを否定なんて出来ないわ」

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