秘密.31


愛おしむように細められた瞳が、ふっと悲しみの影を宿す。

「……私も貴女程強くなれたら、違う道もあったのかしら」

「美鈴さん?」

「いいえ、何でもないわ」

美鈴はすぐに首を振り、真剣な表情で言った。

「貴女をもう一度、地上へ送るわ。ただし私の力では、悪魔のように能力をそのままに人に混ざって生きて行く事は出来ない。怪我をした時の痛みや治る時間は、人と同じよ。違うのは、死なない事と歳を取らない事だけ。その他の特別な力は受け継げない。貴女の大切な人といつ巡り会えるかは運次第よ」

「はい」

動かない意志を宿した心で頷くと、美鈴は労るように微笑んだ。

「でも貴女の想いの強さなら、きっと遠くない未来で会えるわ。頑張ってね。私は此処から見守っているわ」

「はい、有り難うございます」

そして、翼を無くした天使は地上へと舞い降りた。

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