報いの雨.06


「あ、有り難うございます」

「礼なんていいって。好きなだけ、二人きりの熱い夜を過ごしてくれよ!」

爽やかな笑顔で告げられた内容に、霄瓊は一瞬ぽかんとしてから絶句する。

どうしたらそんな発想が出て来るのだろう。

事ある毎に殺気を放つ静嵐と過ごす夜は、熱いどころか冷え切っている。

多分湧碕が想像しているようなものとはかけ離れているのだ。

「お、照れちゃって。可愛いなあ」

「ち、違います!驚いて言葉が出なかっただけです!」

沈黙を明らかに違う意味に受け取ったらしい湧碕に、慌てて否定の言葉を返す。

しかし湧碕はまるで信じていない様子で、ひらひらと手を振って歩いて行ってしまった。

静嵐は相変わらず興味無さそうな顔をしていたが、やがて何も言わずに奥へと歩き出す。

急いでその後に続きながら、霄瓊は小さく息をついた。

手を伸ばせば届く距離にいても誰よりも遠い彼と、自分を繋ぐものはあまりに脆い。

服の上から、そっと左腕の刻印の辺りを押さえる。

脆くて、けれど強い絆。

それは全てを賭けて繋がれた、一本の糸。





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