決意.11


黒曜の店から出て歩き出すと、もう空は明るくなり始めていた。

「あの、静嵐」

背の高い横顔を見上げて、霄瓊が唐突に言い出す。

「朝ご飯は何が良いですか?」

「…………」

「私、腕を上げたでしょう?頑張って美味しいお料理を作りますからね」

返事が無くても気にせずに、楽しそうに話し続ける。

「これから大変になりそうですし、沢山食べて力を付けないと。悪魔さんだって、きちんとバランスのとれた食事をした方が体の為にも良い筈です」

霄瓊は、何も変わっていない。

相手を元気付けたいと思う時、彼女は言葉を探しながら明るく話す。

そして、さり気無く背中を押してくれる。

まだ、たどたどしい言葉の一つ一つが。

幼さの残る表情の一つ一つが。

とても愛しくて、愛しくて。

手を伸ばして霄瓊の髪に触れると、かつての自分の記憶にあるのと同じ感触で。

柔らかな髪が、向けられる瞳が、とても懐かしくて。

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