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穏やかに会話をする二人に、静嵐は何となく面白くなくて霄瓊の手を掴む。

「わっ、静嵐?」

急に足を速めた静嵐に、霄瓊が驚いた声を上げる。

「あんな奴に礼なんて言わなくていい。あいつにはあいつなりの目的があるんだ」

「ええっ?」

「静嵐、思い切り聞こえてますよ」

柔和な顔で言った黒曜に向かって、静嵐は淡々と告げる。

「本当の事だろう?あんたは俺達に誰かを重ねてる。だから放っておけなかったんだろう」

「……っ」

思わず息を飲んだ反応を見ないようにする為か、視線を逸らしながら言葉は続けられる。

「気付かれていないとでも思ったのか?別に詳しく聞く気は無いが、それがあんたにとって大切な事だというのは分かる。俺達を見守る事が希望になるならそうすれば良い。上手く行ったら、希望の一つ位は残してやる」

歩いて行く二人の背中を見詰め、黒曜は足を止めて立ち尽くした。

「……本当に、参りましたね」

歪んだ顔を隠すように額に当てた指の間から、乾いた笑いが洩れた。

「自分達の事で精一杯の筈の君達にそんな事を言われたら、信じざるを得なくなる」

信じてみても良いのだろうか。

もう何度、諦めを自分に言い聞かせて来たか分からない。

それでも諦め切れなかった自分の前に彼等が現れたのは、希望だと。

かつて闇に落ちた自分の、希望だと。

信じてみても良いのだろうか。






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