崩壊.04


「……あの、黒曜さん。どうして此処の鍵を持っているんですか?」

「僕がこのビルを買い取ったからですよ」

「か、買い取った?」

さらりと返された言葉を、霄瓊は目を丸くして繰り返した。

その隣で、静嵐が腕組みをして言う。

「減給になったんじゃなかったのか」

「資金は上に出させましたから。僕の巧みな話術で」

にこやかにそう答えてから、黒曜はふっと笑みを消した。

「此処は要となる地でしょう。今後の為にも、この地は押さえておかなくては」

静まり返った建物の中に足を踏み入れると、声がやけに大きく響く。

「綻びがこのビルを中心として現れている事を考えても、これから何が起こるか分かりません。何も知らない人達を巻き込まない為には、此処が無人である方が都合が良いでしょう」

「そうですね……」

頷いた霄瓊の横で、静嵐が疑いの目を向ける。

「悪魔とは思えない発言だな。また何か裏があるんだろう」

「嫌ですね、無闇に人を疑うのは良くありませんよ」

苦笑を浮かべて応じた黒曜の方を、霄瓊は柔らかな眼差しで見上げた。

「黒曜さんは、一生懸命なだけですよね。人の為に、護りたい想いの為に。悪魔となった今でも、ただ」

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