崩壊.05


全てを包むような穏やかな声は、静かな建物の中に余韻を残しながら消えて行く。

「大丈夫ですよ。想いは強いですから。生も死も、時間の流れさえも越えて、きっと届きます」

そう語る霄瓊の表情や瞳は、深い慈しみに溢れていた。

天使、そのものだった。

しばらくの沈黙の後、黒曜が戸惑いながら口を開く。

「霄瓊さん、貴女は何を知っているんですか?」

「……何も。ただ、まだ未来は決まってはいないという事だけです。そして、それを決めて行くのはいつも人の想いという事だけ」

幾つもの、数え切れない想いがある。

時の流れの中で積み重ねられて来た、尊い想いが。

それはきっと、どんな残酷な結末さえも変えて行く力を持つ。

そう信じる事から始まる。

滅びからの救済が。

別れに繋がる未来も、別の形を見せるかもしれない。

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