寄り添う翼.03


やがて店が建ち並ぶ通りに差し掛かったが、まだ朝早い為に辺りは静かだ。

「ああ、静嵐。おはようございます」

声を掛けられて足を止めると、古本屋の前の植え込みに水をやっていた男がこちらを見ていた。

かつては上司だった存在だが、今は違う。

だから静嵐は、その名を呼んで応じた。

「黒曜も、毎朝早いな」

「年寄りですからね。朝は早いんですよ」

「…………」

相変わらずの食えない笑顔に、思わず沈黙する。

確かに黒曜の中には長い年月の記憶があるが、外見はそうは見えない。

それは自分も同じだから、人の事は言えないが。

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