寄り添う翼.09


流れて行く夜の雑踏を歩く。

この人々の進む先には、どんな未来が待っているのだろう。

あの荒廃を回避出来たとしても、滅びから完全に逃れられたかは分からない。

何十年後、何百年後、この場所がどうなっているのかは分からない。

今はただ、願うだけだ。

普通に過ごしていたら見逃してしまうような世界の美しさを。

空の青さを、降り注ぐ雨の恵みを、草花の健気さを、吹き抜ける風の音を。

忘れずに、大切にしてほしい。

壊してしまえば、元に戻すのは難しい。

どうか美しい自然が、人に牙を向く事など無いように。

大切に守って行ってほしい。

それぞれの大切な人が生きる大地を。

駅前の雑踏を抜けて立ち止まり、ふと空を見上げる。

何も無かった、ただ死にたかった自分が、こんな風に思えるようになったのは全て。

全て、大切なものを想い慈しむ心を教えてくれた彼女のおかげだ。

二人で重ねた愛しい一時を、ずっと忘れない。

時の向こうのあの出会いを、ずっと忘れない。

一瞬で魂を射抜かれた、綺麗に澄んだ眼差しを。

『もし良かったら、お友達になってもらえませんか?』

もしも願いが叶うなら。

会いたい。

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