寄り添う翼.21
二人の様子を暖かな眼差しで眺めていた黒曜は、同じような瞳を向けている静嵐の方を見た。
「……何だ」
意味有りげな視線に静嵐が尋ねると、黒曜は微笑みを浮かべたまま両手を広げた。
「さあ、君も照れずにいらっしゃい。お父さんの元へ」
「…………」
「どうしました?君は僕にとって、いつまでも手の掛かる息子ですよ」
「…………」
沈黙が流れ、黒曜は呆れたように息を吐いた。
「やれやれ。全く、素直じゃないですね」
それから勢い良く霄瓊の方を向く。
「では霄瓊さん。さあどうぞ、胸に飛び込んで来て下さい」
「ええっ!?」
「……殴るぞ、黒曜」
そんなやり取りを見守る美鈴は、まさに天使の如き穏やかな微笑で口を開く。
「まあ、本当に仲が良いのね。お夕飯、食べて行ってね」
この時に辿り着くまでに、沢山の涙と苦しみがあった。
けれどそれらを乗り越えた今、笑顔と温もりがある。
その事がいかに尊いか、分かっているから。
人は感謝しながら生きて行くのだろう。
過ぎ行く時間に、出会う人に。
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