寄り添う翼.25


見覚えのあるアパートの前まで来て、自然に立ち止まる。

二階建ての小さな佇まい、細い階段。

「あそこが、俺の部屋だ」

静嵐が指で示した先にあるのは、狭いベランダがある二階の一室。

変わる前の世界で二人が暮らしていた、小さな空間。

「……静嵐」

不意に想い出が蘇って来る。

お互いに語らない心の内を探りながら生活していた頃。

小さな変化を積み重ね、明かした過去。

理解し合えて、決意を新たにした時。

全てがつい昨日の事のようで、でももう遥か昔の事のようでもあって。

長い長い、旅だった。

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