寄り添う翼.26


何も言えないまま階段を上がり、部屋の中に入る。

先に靴を脱いで電気を点けた静嵐の後に続こうとして、霄瓊は玄関で小さく頭を下げた。

「お邪魔します」

「……違うな。そうじゃない」

振り向いた静嵐の言葉に霄瓊が目を瞬き、少し考えてから言い直す。

「ただいま」

「ああ、お帰り」

優しさを秘めた瞳で見詰められ、何故か泣きそうになった。

天界で静嵐が魂を売り渡したと知ってから、この瞳をどれ程夢に見た事だろう。

こんな未来があるなんて、あの時は考えてもみなかった。

此処に辿り着くまで、長い長い時間があった。

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