深海の心.04
考えている内に、黒曜が急須と湯飲みを用意してレジの横のカウンターに並べた。
「霄瓊さん、休憩にしましょう」
「あ、はい」
呼ばれて我に返り、窓の側を離れる。
そして、カウンターの前に黒曜が置いた椅子に腰を下ろした。
カウンター越しに向かい合うその様子は、古本屋というよりは喫茶店のようだった。
「あの、いつも有り難うございます」
注がれた緑茶に霄瓊が頭を下げると、黒曜は笑って言う。
「貴女はあちらのバイトではお茶を淹れる方でしょうから、こちらでは淹れてもらうのも良いでしょう?」
しかし働きに来ている立場で、こういつもお茶をご馳走になっているのはやはり気が引ける。
恐縮する霄瓊に羊かんを勧めながら、黒曜が楽しそうに口を開いた。
「そういえば、昨日はどうでしたか?」
「え?」
「急に休みを取ったから、デートの予定でも入ったのかと」
穏やかに告げられた内容に、思わず咳き込みそうになる。
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