深海の心.08


「用?このお店にですか?」

そう言うと、静嵐が不快そうに息を吐く。

「お前にだ」

「え?わ、私に用ですか。静嵐が!?」

霄瓊はキリンの逆立ちを見るような目で、まじまじと静嵐を見上げた。

「……あの、何でしょうか」

そう訊きながら更に後ろに下がり、背中が店のドアにぶつかる。

明らかに不審がっている様子に構わず、静嵐は霄瓊の腕を掴んだ。

「わわっ」

「さっさと来い」

引きずられるように歩き出しながら、霄瓊が尋ねる。

「あ、あの、どうしてそんなに急いでいるんですか?」

「…………」

静嵐は質問には答えずに、一瞬だけ視線を後方の古本屋に向けた。

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