深海の心.10


初めて会った時から、この娘はこうだ。

だから最初は、自分が置かれた状況を理解出来ない程愚かなのかと思った。

けれどしばらく共にいる間に、どうやらそうではないと分かり始めた。

多分この娘は、今まで静嵐と契約したどの女とも違う。

強いのだろう。

少々の事では揺るがない程。

だから側にいるだけで気に入らないのか。

静嵐を呼び寄せて契約した位、何ともないと言われているようで。

「街の灯り、綺麗ですね。もうすぐクリスマスなんですね」

そう言った霄瓊の瞳は、数々の灯りを受けて輝いて見えた。

その表情も口調も、心なしかいつもより楽しそうに思える。

こうしている分には、ただの平凡な少女だけれど。

無邪気にしている後ろで魔を降ろす程の闇を持っているのを、静嵐は知っている。

自らの魂を引き換えにするのも、他のどんな犠牲も厭わない強い願いを抱いているのを。

それはきっと、願いという表現では足りない。

全てを焼き尽くす熱い炎。





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