深海の心.13


人が一人何とか通れる位の小さな窓は、換気の為か細く開いている。

実に都合が良い。

薄く笑みを浮かべた静嵐に、それまで黙って付いて来ていた霄瓊が恐る恐る尋ねた。

「あの、静嵐。まさかあそこから忍び込むつもりじゃ……」

「ああ」

当然と言うように頷くと、霄瓊は激しく首を振った。

「だ、駄目です!それは泥棒と一緒です。犯罪ですよ!」

今更この自分に対して犯罪も何も無いと思ったが、生真面目なところのある霄瓊は真剣に諭し始める。

「確かに何でも使って下さいと言いましたが、犯罪はいけません。誰かが悪の道に進むのを黙って見逃す、まして協力するなんて私には出来ません」

静嵐は一見幼げな少女の瞳を見て溜息をついた。

強いというのも、時には厄介だ。

説得なんて面倒だし、この娘を動かす程の話術が自分にあるとは、静嵐には到底思えない。

だからしばらく考えて、効き目のありそうな一言だけを口にした。

「人間の未来の為だ」

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