深海の心.14
およそ真心の感じられない声で淡々と告げられた言葉に、霄瓊は少し口を閉ざしてから意外にもあっさりと頷く。
「それもそうですね。では行きましょうか」
あまりにも簡単に霄瓊が意見を翻したのに驚いて見ていると、不思議そうに訊かれた。
「静嵐?どうしました?」
「……いや」
別に敢えて尋ねる程興味がある訳でもない。
そう思って口にはしなかったが、霄瓊には何となく分かったらしい。
静嵐から視線を逸らして、窓の方を見上げながら口を開く。
「人の未来が掛かっているのは本当ですし。それに……貴方と一緒にいる時点で、もう私には善か悪かなんて選ぶ資格はありませんから」
その右手が自分の左腕を押さえる。
「分かっています。いつか選んだ報いをこの身に受ける事は。でも、私には」
どうしても譲れないものがある。
どうしても欲しいものがある。
それはいつしか善も悪も、あの空さえも越えて強く強く。
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