深海の心.14


およそ真心の感じられない声で淡々と告げられた言葉に、霄瓊は少し口を閉ざしてから意外にもあっさりと頷く。

「それもそうですね。では行きましょうか」

あまりにも簡単に霄瓊が意見を翻したのに驚いて見ていると、不思議そうに訊かれた。

「静嵐?どうしました?」

「……いや」

別に敢えて尋ねる程興味がある訳でもない。

そう思って口にはしなかったが、霄瓊には何となく分かったらしい。

静嵐から視線を逸らして、窓の方を見上げながら口を開く。

「人の未来が掛かっているのは本当ですし。それに……貴方と一緒にいる時点で、もう私には善か悪かなんて選ぶ資格はありませんから」

その右手が自分の左腕を押さえる。

「分かっています。いつか選んだ報いをこの身に受ける事は。でも、私には」

どうしても譲れないものがある。

どうしても欲しいものがある。

それはいつしか善も悪も、あの空さえも越えて強く強く。

- 54 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む

表紙へ

ページ:



Reservoir Amulet