深海の心.16


窓のある部屋は資料室のようで、沢山並ぶ本棚の一つが丁度すぐ下にある。

霄瓊が棚の上に降りて音を立てないように床に飛び降りた所で、静嵐も軽々と窓から入って来る。

部屋の中は暗くて誰かがいる気配は無いが、ビルの中にはまだ人がいる筈だ。

見付からないように慎重に行かなくてはならない。

二人はドアに近付いて外の様子を窺った。

幸い、今は廊下にも誰もいないようだ。

しばらく気配を探ってから静嵐はそう判断を下し、霄瓊と共に資料室を出る。

神経を研ぎ澄まして人の気配を避けながら廊下を進む内に、静嵐は妙な事に気付いた。

人の気配というものは一人一人微妙にちがうけれど、大体は似たようなものだ。

それは人だけではなく他の生物も同じで。

生きているものとそうではないものとで気配は大きく変わる。

生きているものは大きな揺らぎを纏う動、そうではないものは全く揺らがない静とで別れる。

しかし、隣から感じるのは独特の気配だった。

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