護り人.20
水底で誰にも知られないまま、この地を守り続けて来たのは。
薄暗く音の無い場所で、人々の命を守り続けて来たのは。
眠り続ける一人の少女。
呆然と見詰めて、静嵐はその名を思い浮かべる。
本人に対してはまだ一度も呼んだ事の無い名を。
(霄瓊……)
気配が似ていて当然だ。
此処にいるのは、彼女そのものなのだから。
淡く光る膜に囲まれて目を閉じている霄瓊は、ただ眠っているのか死んでいるのか分からない。
しかしその姿は、静嵐が知る今の娘と同じに見えた。
左腕に刻まれた印さえも。
霄瓊を覆って淡い光を放つ膜に手をついて、このビルを包む力が此処に源を発している事を感じ取る。
弱く細いのは、自分のような者にも存在を悟られない為か。
人々の気配に紛れる程少しずつ力を発しているけれど。
それは間違い無くこの地を守っている。
そうして水底で一人、どれ位眠り続けて来たのか。
これを、あの娘は知っているのだろうか。
もう一人の自分が、此処にこうしている事を。
- 81 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
表紙へ
ページ:
Reservoir Amulet