護り人.20


水底で誰にも知られないまま、この地を守り続けて来たのは。

薄暗く音の無い場所で、人々の命を守り続けて来たのは。

眠り続ける一人の少女。

呆然と見詰めて、静嵐はその名を思い浮かべる。

本人に対してはまだ一度も呼んだ事の無い名を。

(霄瓊……)

気配が似ていて当然だ。

此処にいるのは、彼女そのものなのだから。

淡く光る膜に囲まれて目を閉じている霄瓊は、ただ眠っているのか死んでいるのか分からない。

しかしその姿は、静嵐が知る今の娘と同じに見えた。

左腕に刻まれた印さえも。

霄瓊を覆って淡い光を放つ膜に手をついて、このビルを包む力が此処に源を発している事を感じ取る。

弱く細いのは、自分のような者にも存在を悟られない為か。

人々の気配に紛れる程少しずつ力を発しているけれど。

それは間違い無くこの地を守っている。

そうして水底で一人、どれ位眠り続けて来たのか。

これを、あの娘は知っているのだろうか。

もう一人の自分が、此処にこうしている事を。

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