兆し.05


「……どうしてなのか、私にも分からないんです」

黒曜はそう呟いて息をついた霄瓊を見詰め、いつもの穏やかな笑みで言う。

「まあとにかく、お休みが欲しかったらいつでも遠慮無く仰って下さいね。どうせ暇なんですし」

「……はあ、有り難うございます」

暇なのは店としては困る事なのだろうが、度々未来へ行かなくてはならない身としては、休みを貰えるのはとても助かる。

礼を言って頭を下げた霄瓊に、黒曜が僅かに目を細める。

「いいえ。頑張って下さいね、霄瓊さん」

「はい?」

意味が分からずに聞き返すと、ただいつも通りの微笑が返って来ただけだった。

その微笑みはいつもと同じなのに、黒い瞳に宿る光は何となく違うような気がした。

深くて底の見えない瞳とよく似た光を、何処かで見た事があると思った。





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