06


もうそろそろゲームの中に戻らなくては。

シキは指輪を見詰めながら呟いた。

「有り難う、世莉ちゃん」

もしもキミが忘れてしまっても。

「シキさん!」

「え、世莉ちゃん!?」

立ち上がって声がした方を見る。

確かに世莉だった。

橋の上からこちらを見詰めている。

(思い出してくれたんだ……)

こんなにちっぽけな自分を。

(有り難う。もう充分だよ、ボク……)

ゲームの中に戻っても、キミが覚えていてくれる、それだけで。

心の何処かで、好きになってもらえたら、ずっと一緒にいられたらと願っていたけれど。

もう充分だから。

もう何も望まないから。

そう思った時、耳をつんざくように車の急ブレーキの音が響いた。

ハンドル操作を誤ったのか、大型トラックが歩道に立つ世莉の方へ突っ込んで来る。

「世莉ちゃん!」

シキはとっさに指輪をはめた手を伸ばし、何の迷いも無く叫んでいた。

「お願いだ、世莉ちゃんを助けて!」

もう一度、ボクに力を。

指輪から眩しい程の光が迸った。





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