09
世莉は大分暗くなってきた川土手に倒れているシキを見付けた。
「シキさん!?しっかりして下さい、大丈夫ですか?」
膝をつき、シキに触れてはっとする。
体が冷たい。
「シキさん、どうしてこんな……」
「……世莉ちゃん?怪我、してない?」
シキがゆっくりと目を開けて言った。
「はい。シキさんが、助けてくれたじゃないですか……」
シキは世莉の瞳から涙がこぼれているのを見ると、そっと手を伸ばしてそれを拭った。
「大丈夫だよ、心配しないで。ボクはいつも世莉ちゃんの側にいるから」
下ろした腕や肩が透け始める。
「……だからもう」
再びゆっくりと瞳が閉じる。
『泣かないで……』
シキの体が世莉の腕の中で完全に消えた時、風が吹き抜けた。
それは世莉の頬を優しく撫でて行く。
耳にはまだシキの声が残っているのに、腕にはまだ重みが残っているのに、シキはもういない。
まだ自分は何も伝えてはいないのに。
何も、ずっと伝えたかった事を。
世莉はゆっくりと立ち上がると、すっかり日の落ちた中を歩き出した。
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Reservoir Amulet