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幸希さんの髪に頬を付けて、囁くように語り掛ける。

「泣きたい時は隠さなくてもいいんですよ。それは貴方が生きている証ですから」

生きているから、人はこんなに温かい涙を流せる。

生きているから、今も貴方はこんなにも温かい。

「そうして流した涙の分も、貴方は幸せに笑って。音楽を忘れないで、奏で続けて。温もりを、愛を信じて。生きている歓びを感じて」

これは私が話しているのか、玲歌さんが話しているのか。

歌のように、祈りのように言葉が自然に溢れ出す。

「時には迷っても、忘れないで。生きている限り道は続いているって事を。貴方が生きている限り、世界はこんなにも優しい歌を歌い続けるから」

俯く時もふと顔を上に向けたなら、世界はこんなにも優しい。

流した涙も、今は哀しい想い出もいつかそれさえも越えて。

どうか優しくなるように。

今はこの熱で貴方を温めたい。

いつまでも待っているから。

今はまだ遠くても、その涙がいつか止まるまで。

ずっと、抱き締めるから。





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