gamestart.12
「…………」
言葉を無くした蒼の頬から温かな白い指がゆっくりと離れる。
そのまま歩き出した華憐の姿を見ながら、蒼はまだ立ち尽くしていた。
しばらくしてから長く息を吐き、低い声で呟く。
「……出会えたら、いいな」
まるで人事のように、諦め切った言葉。
そんな事起こる筈が無い。
そんな奇跡のような事が他の奴はともかく、自分に起こるなんて。
『いつか見付かるといいね』
冷め切った心を呼び起こす奇跡。
温もりを分け合える程暖かくて、燃え上がる程熱くて。
もしもそんな恋が自分に訪れたなら。
この身に奇跡が起こったなら。
その時はまだ知らない情熱を胸に抱いて、全てを置いても手に入れたいと思ったりするのだろうか。
本気になってたった一人を愛したりするのだろうか。
この身に奇跡が起こったなら。
- 104 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet