gamestart.12


「…………」

言葉を無くした蒼の頬から温かな白い指がゆっくりと離れる。

そのまま歩き出した華憐の姿を見ながら、蒼はまだ立ち尽くしていた。

しばらくしてから長く息を吐き、低い声で呟く。

「……出会えたら、いいな」

まるで人事のように、諦め切った言葉。

そんな事起こる筈が無い。

そんな奇跡のような事が他の奴はともかく、自分に起こるなんて。

『いつか見付かるといいね』

冷め切った心を呼び起こす奇跡。

温もりを分け合える程暖かくて、燃え上がる程熱くて。

もしもそんな恋が自分に訪れたなら。

この身に奇跡が起こったなら。

その時はまだ知らない情熱を胸に抱いて、全てを置いても手に入れたいと思ったりするのだろうか。

本気になってたった一人を愛したりするのだろうか。

この身に奇跡が起こったなら。





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