dreamland.16
目の前の少女は驚きも笑いもしなかった。
ただ髪をほどくと、静かにテーブルの上の蒼のグラスを手に取った。
それを乾杯するように空に高く掲げる。
「……っ」
華憐の姿が夢の中の少女と重なる。
華憐はそのままグラスを口に近付ける。
「駄目だ」
それを飲んだら、全てが。
自分でも気付かない内に華憐の腕を掴んでいて、蒼ははっとした。
「失礼しました」
華憐がグラスをテーブルに戻す。
そしてまだ腕を掴んだままの蒼の手に、そっと自分の手を重ねた。
「大丈夫ですよ。私は生きています。貴方のおかげで」
「君は……」
「あれは夢ではありません。本当の事です」
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Reservoir Amulet