lovelabyrinth.20
「あ、うん……。有り難う」
蒼は華憐の大きな瞳から目を逸らして言った。
「じゃあ、そろそろ戻るか」
「そうだね」
どうして、こんなにも胸がざわめくのか。
以前からずっと消えずに残っていた感情の揺れが、どうしようも無く大きくなって。
不意に剥がれそうになる。
いつも被っている、気楽で悩みも無いという自分自身が。
何があっても絶対に、この少女にだけは隠し切らなくてはならないのに。
他人の事ばかり背負い込む少女だから。
これ以上悲しみを知らないまま、最後まで。
例え嘘をついたままでも側にいて、ささやかな慰めを。
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Reservoir Amulet