lovelabyrinth.23


「いや、俺達は見ていない。本部の中にいるのなら大丈夫とは思うが、心配だな」

「ああ、そうだな。少し捜してみるよ」

「うん、そうしてあげなよ。華憐は確かに強いけど、女の子なんだから。こんな夜に一人は寂しい筈だよ」

賑やかな広場の方に目を向けて、信武は続ける。

「僕の両親が言ってた。何もかもを失って、それでもまだ国の為に在ろうとする王女は仕えるべき方だと。戦うのは自分の為じゃないんだから。自分の事は何も望まず求めず、国の為を優先するのが王族なんだって。まだ16の、女の子なのにね」

「何も望まず求めず、か。そういえば華憐は我が儘を言わないな。少し位ならば構わないだろうに」

此処に一緒に来たいと言った時も、躊躇いながら口にして。

共に星を見たあの夜に願いを尋ねた時も、ただ戸惑うような瞳でこちらを見ただけだった。

時折あの大きな瞳にふっと浮かぶ寂しげな光を思い出して、蒼はじっとしてはいられなくなった。

- 163 -






[*前] | [次#]

しおりを挟む


ページ:



Reservoir Amulet