preciousjewel.05


「そんな事、私の口からはちょっと言えないよ」

真面目な口調で返されて言葉を失った蒼に、更に続けられる。

「でも私の目に間違いは無かったでしょ?蒼はこういうお店でのお仕事に向いてるって」

「ああ、そういえば向こうの世界での俺の記憶を創ったのは華憐だったな」

蒼は以前交わした会話を思い出し、ふと疑問が湧いた。

「けど、そんなのどうやったんだ?俺は向こうでもちゃんと友達もいたし、離れて暮らしてたけど家族もいたんだぞ」

「この世界と向こうの世界とは繋がっているから。時々道を開かなくても世界が混ざり合って、本人の意志でなくても行き来してしまう事もあるの。そういう事が起こっても困らないように、どちらの世界にもその人の存在っていうものがあるんだよ」

それは生まれた時からの記憶、人生。

周囲にいる人も含めた、存在そのもの。

「だから偶然世界を渡ってしまっても、その瞬間から普通に生活して行ける。別の世界での人生を夢の中の出来事のように思って。そうしてまた、世界が混ざり合う時に強く引かれて本来の場所に戻るの」

言われて思い返してみると、確かにこちらに戻って来る時強く引かれるのを感じた。

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