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『貴方が優しい人で、誰かを傷付ける事で自分が傷付く人だと私は知っています。だからどうか、全てを壊すというだけではなく、守るという道もあるのだと気付いて下さい』

『華憐、君はまさか……』

『王家は今宵滅びるでしょう。そうしたら貴方は自由です。まだ間に合うから、どうかこれ以上貴方を傷付けないで……』

こんな言葉では、この人の決意を動かせる筈は無い。

半端な覚悟でこれ程の事は出来ない。

もう戻らないつもりで、今此処に立っているのだろうから。

『それでも、君は僕の手を取る事を拒むのか』

『はい。私は貴方の選んだ道に同意出来ないから。だから共に歩む事は出来ません』

『もう、君一人の力では誰も救えはしないのに』

それは分かっている。

今目の前にいるたった一人も、自分は救えないのだから。

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