12
「え?大丈夫だよ。幾ら何でも、部屋に戻る位出来るよ」
「いいから」
白く華奢な手を握ったまま歩き出す。
もうすぐ嫌でも別れる時が来る。
それならその時が来るまで、少しでも支えになりたい。
自分の忠誠を捧げても良いなんて思えるのは、きっと生涯を通して一人だけだろうから。
華憐を部屋まで送り、中へと導く。
その間戸惑ったように何も話さなかった華憐は、やがて低い声で呟いた。
「私はいつも、貴方を傷付けてばかりだね。……でも、必ず」
華憐はそこまで言うと口をつぐみ、笑顔を浮かべた。
「有り難う。お休みなさい、蒼」
「……ああ。お休み」
何故か言葉の意味を聞き返せず、蒼はそのまま部屋を出た。
- 229 -
[*前] | [次#]
しおりを挟む
ページ:
Reservoir Amulet