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「忘れていたのか。騎士団長の跡取りともあろう者が」

呆れ果てたように阿紋が息を吐く。

「しょうがないだろ。俺は元々やる気なんて無かったんだから。それで、いつの話だ?」

「本当に覚えてないのかい?今から十年位前だよ。その頃王が遠くへ出掛けた時期があってさ、いつもの護衛が王に着いて行ったんだ。それで僕達見習い騎士も城の護衛に交代で加わったんだよ」

「騎士のこの上無い誇りと言うのに忘れているとはな」

再び溜息をつかれたが、さっぱり思い出せない。

「……変だな。幾ら俺でも、少し位は覚えていそうなものなんだが」

「大方さぼって遊んでたんだろ?」

「そういえばあの頃、お前は荒れていたな。今以上に」

その言葉に、蒼は苦い思いで顔をしかめた。

(十年前か。俺が丁度……)

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