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それなのに何故、今は華憐を守ろうなんて思っていられるのだろう。
いつから自分は、投げやりではあっても死という未来を受け入れたのか。
どうして抗うのを止めたのか。
『……ごめんなさい』
不意に、声が響いた。
深く深く閉ざされた心の奥から昇って来るように。
『いいですよ。私を、殺しても』
(何だ……?これは)
これは、この声は。
『貴方はきっと、何かに縛られたり捕らわれたりしてはいけない人です。だから、私が貴方を』
まだ遠く霧の向こうから聞こえて来る声。
何処かたどたどしいのに、限り無く優しくて暖かくて。
けれど更に思い出そうとしても、霧が頭の中に立ち込めるように遠くなってしまう。
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Reservoir Amulet